作物の自給は、需給、価格を超える国家安全保障である。 ( No.9 ) |
- 日時: 2015/02/15 10:42
- 名前: 満天下有人 ID:aFgQuxQ6
- 青いトマトさんが、別スレッドで言われている「農協がらみで日本の農業が論じられても、米英経済の枠組みで論ずるのであって、それは全く意味をなさないと考えます。米国の農産品は戦略物資であって、兵器と考えても良い。(その視点で言えば守るべき)農業は社会保障と同列に考えねばならない。」
これは長年に亘る私の持論と同じで、我が意を得たりの気持ちです。昨今の農協がらみで生じている我が国の農業論、元は小泉内閣の時に構造改革の一つとして、当時のオリックス(金融資本)の宮内会長が委員長であった総合規制改革会議で農協改革案が土台になっており、当時内閣官房副長官であったシンゾーが、今回蒸し返して来た物。
全農がここまでコングロマリット化した背景には、戦後農地改革=並行して敗戦国としての食糧確保の為の制度創りに際し、農家への支払い金融を要する為にGHQの反対を押し切って農林省が金融機能を農協に持たせ、それが他の肥料や農機具確保の機能にまで広げられて今日のマンモス寡占企業のようになってしまった。組合法による独禁法適用除外措置も、寡占化に大きな役割を果たしてきた。
シンゾーによる農協潰しの次の一手は、この独禁法適用にあると、世間雀がうるさくなっているようで、しかし農協改革、全農潰しの当初からの目的は、全農による農業の独占的支配を排除する、というより、農業をより資本主義体制化=大企業資本化するのが狙いで、その背後には当然ながら国際メジャーであるTPP米大農業資本の狙いも重なっている。寡占化される動きとしては、似たようなものである。
問題は、資本主義的効率に農業を委ねれば、人間生存の第一次基幹物資が、生命維持より先に利潤率で生産されて行くことになってしまう。食べ物はそういうものではなく、むしろ<社会保障>に近い概念で捉られるべき性格の物資だ。
<英国は食糧の自給率を高めていると思いますよ。>
この部分について、2011年12月に、当代世間ウソ算用スレッドで書いた事を思い出したので、順番が狂いますが先に、この部分の詳細を再掲しておきたい。英国は英仏戦争時の苦い経験を今でも生かして守っている。
日時: 2011/12/08 07:23 名前: 満天下有人 ID:IdNoaKcI ・・・TPP推進派、反対派の構図は、どうしても違う産業分野の利害が賛否を巻き起こす。問題はAの利益の為にはBの犠牲も止むを得ないとの利害が問題になることだ・・・ならば夫々が別々の条件で、Bの利益も損なわない方法で国際化なりを進めれば良い、ということになるが、TPPの場合は、品目にこだわらずに全分野にわたっての関税全面自由化だから、そうは行かなくなる。
・・・野田はコメは守ると言うが、交渉参加決断の前後において、どうも二枚舌を使っているのではないか、カーク米通商代表、オバマ大統領にに明言した事実と国内向け説明が曖昧なので国内で反発を招いている。
繰り返しになるが、このAとBの利害が、産業別にぶつかり、更に政治的にも相反する形となり、食糧穀物戦争に発展した歴史的紛争として、1815年に終結した英仏戦争から生じた第一次穀物戦争、ナポレオンによる小麦輸出禁止令と1972年のニクソン大統領による穀物輸出禁止令施行による第二次穀物戦争が大きなものである。
・・・どちらも市場価格の高騰を招き、3年前の高騰は、豪州の旱魃による需給バランスの崩れ、及び地球温暖化問題で批判を受けた米国が、ブッシュ大統領によるバイオエタノール転換政策を加速させ、それによる高騰側面もあったが、金融資本が需給バランスの崩れを利用し、それが高騰に拍車をかけた大きな要素も見逃せない・・・3年前に日本商社がカンサスの農家にトウモロコシ契約を反故にしないでくれと日参していた光景が思い出される・・・農家は短波放送によるシカゴ市況の活況に耳を一心に傾けるばかりであった、日本商社に対しては生返事だけ。
ロシアが小麦に、中国がコメに、一時的ではあったが、輸出制限措置を取っていた。エジプト、トルコ、果てはカリブ海のハイチで民衆による暴動が頻発、ハイチでは政府が倒れてしまう程であった・・・勿論、食糧暴動の背景には民主化運動があり、それが食えない状態とあいまって暴動に発展。
そして現在である・・・、シカゴの農業調査会社であるアグリソースは、この夏、穀物市場は更に20%上昇するとの予測を出し、世界三大投資家と言われるジム・ロジャーズなど、ユーロ危機回避には必ず世界同時的金融緩和がなされる、そのカネは必ず商品市場に向かい、とりわけ穀物市場に向かうとのご宣託。
・・・このスレッドのタイトルに態々「需給価格を超える」国家安全保障であると申している最大の理由は、高くともカネを払えばモノは手に入るのか、という基本的命題、工業製品と質が違うものが農業にはある、貿易論に幻惑されてモノそのものが入手できない事態を想定していないのは危険である、という想いをこめているからである。
こちらが食べ物に不足している、こちらでは生産できない珍しいものを輸入によって充足する場合は別に構わない・・・しかしこちらで生産できるのに敢えて輸入に任せる、或いは相手国の農業者への思いやりから輸入してあげるという性善説だけで、平穏に事が運ばないリスクも十分見極めておかねばならない。その意味で食糧は国家安全保障の重要な側面を持つものなのだ、キッシンジャーが米ソ穀物戦争当時、原油と食料を戦略物資と位置つけたことに看過できない政治が絡んで来る本質を秘めているものなのだ。
・・・英仏戦争時代の第一次穀物戦争を見ても、ナポレオンによる対英小麦輸出禁止措置が、価格高騰もあいまって、英国に食糧不足状態を起こしていた。
そこで見られた現象に、やはり産業別資本による闘いが見て取れる。当時の英国食糧自給率は現在の我が国と同じくらい低かった・・・有名な論争に、マルサスの悪魔がやって来るの人口論の先駆者マルサス、ネズミ算的に増加する人口によって世界は、食糧の需給バランスが崩れる、そうなると生産国とて自国余剰生産がある時はともかく、気象異変や戦争異変などがあると、相手国のことは構わなくなる筈だ・・・その背景には産業革命以前のように、自己利益を守りたい地主階級の思惑もマルサス理論の支持基盤になっていた。
・・・一方、産業革命で勃興した産業資本家たちは、労働力にも影響を及ぼす高い基礎食糧は困る・・・安いものがあるなら貿易によって賄え、この理論的支柱になったのが、国際比較生産費説で有名なリーカード・・・マルサスはリカード理論を、地球には資源が無限にあるとの仮説に立ったものでしかないと激しく論争、そして工業優先の政策は必ず行き詰るとして農工同時発展論を崩さなかった。
目下のTPP促進を擁護する米倉経団連の産業資本と、今では地主階級でもないが同じ産業としての農業擁護論による貿易優先反対論の構図が、この第一次穀物戦争当時の構造と良く似ているのだ。
・・・結果はどうであったか、我が国戦後の食管法にも似た当時の英国における穀物法・・・自給を守れとするその穀物法はマルサス/リカードの論争の末、リカードが勝って1846年に穀物法は廃止されて、自給率は40にまで急低下してしまう。
目下の我が国と当時の英国の違いは、英国は400万ヘクタールにまで減少した農業に危機感を覚え、これを1800万ヘクタールにまで回復させて今日に至っている・・・マルサス/リカード論争も産業資本優先による国際貿易が国家安全保障にどう影響するかの激しい論争となった、賛否両論のそれは、つまり基本命題をどうするかの国家サイズでの認識論争があったと言う事である。
・・・翻って我が国では、TPP参加問題にせよ、戦後の食糧基本法の若干の手直しや、農業への株式会社参入による大規模化論などがあっても、基本理念からの真の論争にはお目にかかれない・・・キッシンジャーが突然官邸に現れるとハイハイ全面自由化会議に参加しますと言うだけ。
米農業団体がホワイトハウスに、日本の参加の真意を再度確認せよと求めていることも、意図はオコメ売りに関心があるだけでニュアンスは違うにせよ、一体日本の、農業の位置付けに対する基本哲学は何なのかと、外交上の、経済上の技術的な駆け引き以上に、問われていると感じないといけない。
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御丁寧な解説をいただき、感謝いたします。 ( No.10 ) |
- 日時: 2015/02/15 17:46
- 名前: 青トマト ID:au0OaSqA
- 英国の事例に隣国フランスへの思惑あり、とは知りませんでした。
フランスは大農業国ですから脅威でしょうね。
面白い事に英国はスペインを痛め付けて来ていると思います。
英国人はワインをスペインのシェリー酒をよく飲んで来ていて、フランスワインを主としてきてはいないようで、シェリー酒は英国人によって味が磨かれたなんて言われているのですね。
シェリーの空き樽を使ってスコッチウイスキーを熟成させたのも廃物利用だった訳でして。元々はね。
戦後の食糧事情の打開策が放置されたままで、その後は米国の言いなりとは、戦後経済復興の米国事情に乗っかった幸運を食い散らかしているだけの日本国民のだらしなさの一例に過ぎない訳です。
農地解放によって小作農が自作農になれて、戦後復興に乗っかれた農民・農家であればこそ、自民党を支持して来たわけです。
全体として甘い汁を吸ってこれた。
これは、ハハ、日本が戦争に負けたからですよ。究極的には米国に占領されたからだ。
そうでなければ、今でも小作農はそのままで、地主は大手をふってまかり通っていたでしょう。
今の人達は、庄屋という言葉すら知らないでしょう。飲み屋のチェーン店の名前として知っている。
私も庄屋の現実に活動している姿は目にしていないのです。
既に彼らの全ては没落していました。彼らは小さな城のような大きな屋敷を構えていた。
地主は庄屋だけではなかったのですが。
日本の敗戦と米国追随の戦後日本の在り方が、自作農の経営する日本の農業の繁栄をもたらしてきたのだから、保守的になるのは当たり前で、対米追随自民党を支えてきたのはエゴイズムが満たされてきたからです。
でも、それがとうの昔に賞味期限切れになってきている事に彼ら農協と農民は気がついて来てないわけだ。
産業界も同様で、
これは、
首なしチキン、なのですねえ。まさしく。
日本国民の在り方は、首なしチキンだ。
自分で餌を摂取できないので、飼い主の世話にならなければ生き延びられない。
それがもうすぐクタバル老人のUSAというわけだ。
チキンの頭は何処行ったー?
頭はあるのか? 脳はあるのか?
あるらしいのだが、どうも眠って夢を見ているらしい。
この脳ミソ、起きるんかい?
どうやったら起きるんかな?
この技術を眠り姫?、植物人間?
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Re: 血まみれのカクテル ( No.11 ) |
- 日時: 2015/02/15 19:12
- 名前: 満天下有人 ID:aFgQuxQ6
- 西ヨーロッパの飲食文化も、それぞれの国情が絡み合っていて面白いですね。18世紀頃の英仏西は、それぞれ覇権を争って、文化にまで優劣をつけて溜飲を下げていたのかも知れません。
カクテルの原酒となる蒸留酒についても、イギリスで洗練されたものが多いとかの自慢話もよく耳にします。労働者のカクテルという訳でもないのでしょうが、私はよく、ウオッカベースにトマトジュースを調合し、グラスの淵に塩をぬった「ブラデイ・メリー」が好きでよく飲んだものです(笑)。
あの赤い色が血を連想させ、プロテスタント300人を処刑した英国メアリー一世女王にちなんで、ブラデイ・メリーと名付けたとか・・・
今でも米政界を牛耳っているユダヤ名誉棄損防止連盟・ADLの先代会長であったエドガー・M・ブロンフマン・・・オンタリオのシーグラム社を買収し、シーバス・リーガルや、エリザベス女王戴冠式の為に醸造した銘酒ロイヤル・サルートなどが有名ですね。
今やISが、ウン百年に亘る西欧キリスト教文明に反抗、ブラデイ・メリーをがぶ飲みし始めたかのように、人質のクビを切り始めました。
わが国はどうでしょう、最初から首無しチキンのように血を垂れ流し、それをいくらでも吸わせている。果てしなき国債増発で、生き血の製造に励んでいるバカみたいなことをやっている。逆にブラデイ・メリーを飲みほしてやらねばならない時期に・・・。
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お酒の話に深入りすると本題から脱線しかねませんが、英国ではビールとジンが主に飲まれているそうで。 ( No.12 ) |
- 日時: 2015/02/15 22:08
- 名前: 青トマト ID:au0OaSqA
- 英国ではウイスキーはあまり飲まないそうですね。
ビールが主だそうで、貴族階級はシェリーなんかのワインなのでは?
ブランデーとかウイスキーは食後で飲むのでしょう。
英国のジンはオランダから渡った製法の凝った薬用酒がかなりインスタント化したものです。
オランダやドイツのジンは熟成させてウイスキーのように香りも味も深いものが多く、英国のジンは熟成させないので、ウオッカと並んでカクテルのベースとして使われるに至っているようです。
私はカクテルが怖くて飲めないのです。悪酔いするのではないか?と怯えて、ほとんどストレートかロックで飲むのです。
ただ、ハンターというカクテルがありまして、ブランデーとウイスキーを重ねてつぐだけのもので、これなら飲めるかも知れませんが、ハンターとは標的は敵兵ではなく、オンナの人です。
英国人は英語についてもプライドが高いのですが、欧州の実情を見ると、プライドとはコンプレックスの裏返しなのではないでしょうか。
ちなみに米国でもビールが主で、バーボンウイスキーを主に飲んでるのではないようです。
スコッチもバーボンも輸出が主なのでは。
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日本が倒れるならば、首なしチキンのままで倒れるのでしょう。 ( No.13 ) |
- 日時: 2015/02/16 04:29
- 名前: 青トマト ID:S4YnK6sk
- 今の日本国民の在り方は、首なしチキンで喰われるままだから、それが克服出来なければ、相手の事情に寄る運命だから、栄養補給が絶たれたら御陀仏ですよね。
でも、望み薄いな。
まるで覇気がないんだもの。
外国で暫く暮らした人は日本を高く評価するが、私はそうは思わないのではないかと思うな。
外国で暮らして日本を評価するのは、元々、外国に過大評価をして渡ったからではないのか?
私は、別に外国に憧れたり評価を高くはしないから、仮に行ったとしても日本を高く評価はしないと思うよ。
韓国に渡れば、そこに馴染むし、米国でもロシアでも馴染むでしょう。
だから、日本人には自分で立って貰いたい。
自分としてやるべき事を私はやるだけの事だから。
日本人は回りを気にして生きることを止めた方がいいと思うよ。これは
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首なしチキンレースとは ( No.14 ) |
- 日時: 2015/02/16 14:05
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:VIAYMVKE
- >まるで覇気がないんだもの。
北陸新幹線の初乗りチケットを入手するための大騒ぎ。 多くの人が長蛇の列を作り並んでいるニュースと共に、富山駅では、PC技術者を集め希望者の大半に乗車券を確保した、その手口を駅の広報官が自慢そうに喋っている。
新型携帯電話でも、PCソフトでも新型が出れば徹夜して並ぶその光景を見ると、その分にはエネルギー(破棄)がないとも言えないが、要するに民主主義を自己の欲望を満たす制度と勘違いしている事の裏返し。
どこかで書いたが、民主主義は利己心の開放であり、民主主義の行き着くところは弱肉強食の社会となるであろうと、言うことの証明である。
弱肉強食を受け入れながら格差是正など、鼻から意味のない話。 民主主義を標榜する一方で、弱肉強食を窘めても理論的に整合性はない。 その矛盾に人々は気がつかない。 気がつこうとはしない。
広辞苑では
>「金持は喧嘩をすれば損をすることを知っていて他人と争わない。」 となっています。
また、このようにも解釈するそうです。
>金持喧嘩せずは心の豊かな人のことです。
ですが、
単なる金持には、因業な金貸しのように、思いやりが一切ないような因業爺もいます。
イスラム国が、人質惨殺のニュースを流し、それを見せられている我国のメディアの解説は、残虐に報復で応酬しても事態は悪化するばかり、話し合いをしなければならないというものがほとんど。
ガンジーの様な無抵抗主義ならともかく、まさに「金持ち喧嘩せず」の発想。 まさに弱肉強食を是認したもの。 猛獣に襲われるカモシカなどが、危機を避けているのと同じこと。
人間社会には超えてはならない規範が必要。 それを破るイスラム国を容認するならば、どうしてユダ菌の所業も非難できるのか。 イスラム国を撲滅させる、その刀を、何故、ユダ菌へ向けようとはしない。 逆に言えば、イスラム国に敵対できないということはユダ菌へも刃を向けないということ。
まさに「金持ち喧嘩せず」の論理。
いずれの争いも避ける。
衆愚の後には独裁が始まるように 民主主義に現を抜かしていれば、弱肉強食の世界が始まる。
>「覇気がない」とは
民主主義の指標であり、成熟度。 民主主義のいうユートピアとは、そんなもの。
別の言い方をすれば「平和ボケ」 かりそめの、平和にならされた国民は、そのかりそめの姿に疑念を持たず、ただ従順に行進しする。
一方で、格差は広まり テロは続発する。
そんなものが沈黙で防げようか。 否、人々の無関心の結果が、現在を招いたのである。
冒頭の、平和的争いは、本当にやらねばならない、人間としての争いを避けて、その本能の出しどころを誤ったもの。 要するに、日本は希にみる民主主義が成熟した社会である。
大口開けた悪魔に飲み込まれるまでは、平和を満喫すれば良い。 悪魔と戦う気概をなくした日本社会。
せいぜい、初乗りチケットの争奪戦狂喜していれば良い。
(追伸)
安倍の右傾化政策が、国民自身に戦う気概を呼び戻し、それによって安倍自民党が撲滅されるような諸刃の刀である事を期待したい。
善悪、好悪を別にして、これ以外に平和的に社会を変えることはできないのでは!
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場の空気で重要事項が決まるこの国特有の文化 ( No.15 ) |
- 日時: 2015/02/16 14:13
- 名前: 満天下有人 ID:9DKn2Z3M
- <日本人は回りを気にして生きることを止めた方がいいと思うよ。これ・・・>
すぐに思い浮かんだのが、山本七兵氏の「空気の研究」であり、も一つは在米時代の経験で、日本人はどうしても群れて歩くことでした。
せっかく外国に来ているのだから、時間の許す限り現地に溶け込むこと第一義なりと思っていても、企業転勤者となると、自発的に海外勉強が目的で来た訳でもないから、どうしても社員として群れてしまうのですね。昼飯になると、何となく場の空気で、何となくゾロゾロと集まって、ゾロゾロとメシ食いに行く。
毎日、こんなこと止めましょうやと言うと、場の空気が厚くなってきて、今日はあそこの珍しいお国柄ランチ食いたいなと思っても、結局、無目的に場の空気に従って群れてしまい、食べたくも無いメニューに向かって群れて行く。
山本氏はこの雰囲気を、日本人独特の場の空気と称し、その空気が一種の力を持ち得るのは、何らかの気圧のような圧力があるからだろうと思い、あれこれ分析を試みてみたが、分からないと言っておられた。
それはそうでしょう、論理で解明できるシロモノではないのだから。激戦を体験された山本氏のことだから、あの太平洋戦争における軍部の不思議な作戦決定を随所に引用されているが、戦後になっても戦艦大和の無謀な出撃について、戦中軍令部次長であった小沢中将が、全般の“空気”よりして、当時も今も大和の特攻出撃は当然と思う、との発言を例に、戦闘になった時の細かいデーターは多々あったのに、何となく特攻精神が溢れていた当時の日本の空気、それが国の運命を左右する重要事項を決定してしまう。
その空気はムードによって決定されるから、分析のしようもない訳である。話が飛ぶが、目下のアベノミクスによる超金融緩和がそうである。最高学府の東大卒の総裁に副総裁、そして専門の東大の先生までが、物価上昇目標を言いだし、その効果は何によって決まるかと言えば、消費者民衆が物価が上がるという“空気”によると言うのだから、もうヘソも茶を沸かす元気も失せてしまう(笑)。
この日本的場の空気とは、何故さような強制力を持ってしまうのだろうか。これまであれやこれの日本人気質を醸成する因子について考えては来たのだが、どうしても地政学的に極東の離れ国家が、さような民族気質を創って来たのではないか・・・いつぞや黒沢明監督の七人の侍がここでも話題に上がったが、そこでも描かれていたそれは、山落共同体においての「村八分的」空気であった。
何となく村の空気で暗黙の内に決められたことが、判断の基準になり、それに抵抗すると異端者として「抗空気罪」とでも言うような罪によって社会的に葬られてしまう。日本人とて論理的に物事を考える能力はあるのに、この不思議な場の空気がより強い判断基準を持ってしまう。否、判断したとも言えない、単に空気に逆らわずに何となく同意しただけの事なのだから。前にも書いたが、この国では国会解散となると、何故バンザイと叫ぶのか、今もって理解できない(笑)。解散が持つ重要な意味など二の次で、とにかく場の空気としての爆発的高揚感に支配されただけのことだろう。
山本氏はこの気質が、相手の実態を見てはならないという空気を二次的に創りだすと指摘されていた。真にその通りである。シンゾー政治と、それに繋がる米従属も、批判してはいけないとの全土的場においての空気を創ってしまっている。自ら首無しチキン、」ネック・レスチキンに成り下がってしまっている。何よりも「場の空気」を大事にする結果である。
そして、日本初の女性東大教授になった東洋文化史の中根千恵女史が、この空気を重んじる日本人気質について、色んな状況を先ず「臨在感」的に把握し、その状況に支配されることから行動を起こすから、それは別の感覚としては、直観力は豊富だという性質も有しているから、論理的な説明考え方では絶対に動かないのに、瞬間的には即反応する天才的気質も持っている。
それが飛び上がるほど熱いものだと、いくら論理的に説明してもそれだけでは動かない。しかしそれがジュッと飛び上るほどに熱さを感じた時の対応は、驚くほど巧みで大ケガはしないという天才的素質も持ち合わせている。
そうは言っても、やはり場の空気から生じる群れる気質、それは向こう三軒両隣的な町会などの場で、先行きの大きな問題にもならない程度のことなら、まあいいか、で、場の空気を読んで同調する程度のことなら別に問題は無いのだが、国の、延いては文字通り己に降りかかってくるような大事に対しても場の空気で事が決まって行くのが怖い。維新以降、その実例には事欠かない。
SUICA販売や北陸新幹線チケット初売りに群れる群衆。この国でのその心理は権力の騙しに対抗する群れにはならない。毎年ランキングが下がり、昨年では61位にまで下がった国境なき記者団による言論の自由度ランキング。論理的に社会、政治風潮を監視すべきマスコミからして場の空気ばかりを気にしている。
状況の変化には対処しても、将来の状況を言葉でリード出来ない国なのだ。
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日本人は回りを気にして生きることを止めた方がいいと思うよ。これ・・・ ( No.16 ) |
- 日時: 2015/02/16 14:18
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:VIAYMVKE
- 確かに言われる風潮が有ります。
しかしながら、実際の現代日本社会は、昔ほど、回りを気にして生きないようになっていると思います。
回りを気にして生きると言うことは、ある意味の倫理道徳がある証拠です。 現代社会は、これすらもなく、単なる首なしチキン。 このことは皆さんも身近で体験されている事と思います。
そりゃ、最悪の選択肢でしょうね。
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子供騙しの経済政策>アベノミクスで景気が良くなる話は、どこえ?(1) ( No.17 ) |
- 日時: 2015/02/17 15:06
- 名前: 満天下有人 ID:yJ68zwLA
- 昨年度最終四半期10〜12月のGDP速報が内閣府から出された。
シンゾーがこの道しかないと力を入れていたアベノミクス、昨年は実質マイナス成長の連続でコテンパァに批判されていたが、やっとマイナスではなくなった。と言っても消費の伸びは僅か0.3%で、これは昨年同期と全く変わらない。
選挙後、シンゾーが所信表明演説はやらないとマスコミは報道していたが、今国会ではやっているではないか、最近ではマスコミ報道までが子供じみて、言ってたことと実際が違うことが非常に多い。記者クラブとやらが官邸報道しかすることがないためにさような齟齬が当たり前のことになってしまったのか、同じ日本人でありながら、ほんとに奇妙な国だと思う。
それはそれとして、そのシンゾー、今回の国会演説ではあれほど力説していたアベノミクスには一言も触れなかった、ゼニばら撒いても経済が上向かないことで、逃げにかかったのか。日銀は物価が上昇に転じれば、景気は回復するとして、市中から国債をバンバン買い入れる金融政策でベースマネーは140兆円も増やしたが、誰もそのカネを使わない(笑)。だから物価も上がらない。非正規労働促進のアベノミクスだから、実質経済を支える賃金を抑え込んで、企業の内部留保ばかりが増えて、企業も自己金融力は十分であり、お仕着せのカネなど使う必要も無い。
そして超金融緩和による円安で、物価だけを上げようとする子供でも分かる子供政策を、大の大人がやりおる。世界中の一流経済誌に嗤われても、嗤われている理由が理解出来ないのだから、手の打ちようもない。
2013年1月、異次元金融緩和発表。方法としてこれまでのやり方と異なる日銀のベースマネー132兆円を270兆円にまで増加させることで、景気を回復させ物価を2%上昇させてデフレから脱却する、というものであった。
増税後の内閣府GDPで、果たして政策の効果はどのように出たのか、最新日銀通貨統計と合わせて分析して見るに・・・
日銀ベースマネー 2013年1月 131.9兆円 2015年1月 275.3兆円 +)143.4兆円
確かにベースマネーは270兆円に達し、目標は達成されている。だがそのベースマネーの中身を見て見ると・・・
日銀券発行残高:2013年1月 84兆円 2015年1月 90兆円 (ベースマネー増加143兆円に対し僅か6兆円しか増加していない)
日銀当座預金:2013年1月 43.5兆円 2015年1月 180.5兆円 (現金印刷が6兆円しか増えていないのに、ただ日銀による国債の買い入れだけの現象が如実に表れている。どういう理屈かと言うと、日銀が市中から買い入れる国債代金の一部を、買い入れたその市中金融機関からの預り金として増やしておけば、市中金融機関はいつでも市中に融資出来る準備金が増えて、貸し出しも増えると言う、経済の実態が何も分かっていない政策を続けているということです。
実際に経済活動=景気が回復しているなら、現ナマ印刷も増え、日銀ベースマネーの効果を表す市中のマネーストックも増加していなければならない。
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子供騙しの経済政策>アベノミクスで景気が良くなる話はどこえ?(2) ( No.18 ) |
- 日時: 2015/02/17 19:39
- 名前: 満天下有人 ID:yJ68zwLA
- マネーストックの統計を見て見よう。日銀ベースマネーと市中でのマネーストックの関係何かと言うと、市中では現金そのものの約7〜8倍の信用マネーが創出される。どういうことかと言うと、例えば経済のパイ・GDPが50兆円増えたから、現金発行高も50兆円増やす必要はない、ということである。約束手形を想定されると分かりやすい。今日、10兆円の取引商いがあったとしても、それに要する決済現金は先の話である。その時までに増発すれば良い。そのような関連で、その10兆円から派生する別々の連鎖して広がる商いが増えて、しかも決済は先なのだから、そこで発生する現金予備軍は膨らむが、それは預金通貨として表示されて、使用経済が拡大する経済効果の重要な指標となる。
日銀買入れの国債も同じ理屈なのだ。日銀ベースマネーが143兆円増えたから、現金も143兆円印刷された事にはならない。あくまでも帳簿上の当座預金勘定で143兆円にしておき、国債を売った市中金融機関が現金を要する時に初めて、現金を印刷して市中に流す。その間は、国立印刷局に1万円札なら一枚15円の印刷代を払っておくだけで、当座預金勘定に計上しておくだけで、例えば現実に50兆円の現金の需要が生じた時に、その当座預金を50兆円減らして、現金勘定を50兆円増やして市中に流すのだ。通常経済のパイが大きくなり、現金需要が増加する時でも、その現金供給の見合いになる国債を政府が発行する事によって、現金が市中に供給される。
自民党が政権復帰する前のジミン総裁シンゾーが、とんでもない事を言っていた。現金1万円を増刷することは、印刷代20円払うだけで9980円は政府の利益になる、よって政権に帰り咲いたら超金融緩和を行うと・・・もうワッハッハとしか言いようがない、こんなのがアベノミクスしか他に道は無いと言い、訳が分からなくなるとダンマリを決め込む。
話を戻して、日銀が超金融緩和したのに現実に起こっていない現金需要を、市中通貨としてのマネーストック統計でも見て見よう。
2013年1月 1178兆円 2015年1月 1211兆円 +33兆円。内現金の増加は僅か4兆円である。
通常の信用の創造を伴う市中貨幣需要効果は、現金の増加に対し約7〜8倍であるから、まあ現金増加分に対しては理論が当てはまってはいるが、経済の効果指標であるGDP成長率は実質0であるから、いかに死んだマネー政策が続けられているかが分かる。
昨日発表されたGDPとて、実質で前期比0.6%増加、年率で2.2%というが、前述の通り、GDPの6割を占める個人消費は、僅かに0.3%増で、これはやっと前年同期の数値に戻ったということでしかない。では何がGDPを+に転じさせたかと言えば、経常収支の1.4%増加に拠っている。へえ、円安で輸出が増えたかと思ってはいけない。円安で中国人などの観光客が増えたからなのである。別にそれが悪いと言ってるのではない、要素としては甚だ頼りないと言いたいのだ。その為だけに世界も驚く超金融緩和をやったと言うなら、お粗末過ぎて話にもならない。
・・・別稿で、日本人は重要な決定に際しても、場の空気を重んじる気質で国家が運営されていると書いたが、カネを流し続ければやがて民衆の間にインフレマインドの空気が起り、景気が回復するなどと言う日銀幹部ども、空気任せで実態を誤魔化して、しかも恥ずかしいと思う気配すら無い。それどころか黒田総裁は更にこの金融政策を続けると言い出した。
金融緩和は現金が沢山出回り、政府は9980円も儲かり、民衆にもトリクルダウンでおこぼれが滴り落ちて来ると言うバカ丸出しの小僧が総理大臣なのである。そして民衆はこれを支持している。
NYタイムズに掲載されたシンゾーと日本国民に対する痛烈な皮肉戯画は、秀逸である。 憲法改正と書かれた人力車の座席にシンゾーが座り、竿の先にテロと書いた小旗を車夫の(日本国民の)鼻先にぶら下げて走らせる。車夫はテロが怖いものだから、必死になって憲法改正人力車を引っ張って走る。軍事行使容認に向かってひたすらに・・・ガハハハッ!!。
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