Re: 資本主義・民主主義の問題点<現代社会の矛盾 ( No.1 ) |
- 日時: 2018/11/24 14:04
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:U9q0gAXQ
- 2000年にも渡る西欧哲学は、人間の存在を問い、国家の有り様を問うてきて、最後は実存主義、アナーキズムを生むことになった。
民主主義、資本主義が登場して200年、この間、哲学は全く沈黙してしまっている。 近代科学が発達した現在、哲学は無用のものになってしまったのか。
資本主義・民主主義の興隆のなか、我々は科学技術の発達、情報の氾濫で一人一人が哲人であり、もはや哲学者の言い分に耳を傾ける必要はなくなった。 それでも我々の迷い苦しみが無くなった訳でもない。 現代社会は誰がリードするのか、先験者など不要になったのか。 そうではなく、現代社会の矛盾が増せば、必ず先験者が必用になってくるのではないか。人々はそれを求めるようになるのではないか。
この様な観点からみて近年の思想家で我々に啓蒙を発した人物はまことに稀である。
ヒットラーの予言の事を書いて顰蹙を買った向きもあるでしょうが、ヒットラーはまさしく現代社会の矛盾を洞察していた。 同じようにマルクスも資本主義の矛盾を明確に説き、現代社会の矛盾を喝破していた。 ヒットラーやマルクスなど著名な人間で無くても、同じような警鐘を発した人はあまたあると思うが、それは世に知られていない。
ここに、ごく最近のギリシャの政治学者であるヤニス・ バルファキスの講演を紹介します。
「資本主義が民主主義を食い尽くす—今こそ立ち上がろう」
民主主義— 西洋社会は それを当たり前に考えるという 大きな間違いを犯しています 私たちの目には 花の如く実に脆い 民主主義の本当の姿ではなく 社会に備え付けのものとして 見えています 岩のように動かないもの あって当然のものと思いがちです 資本主義こそが民主主義を生み出すと 誤解していますが 間違いです
シンガポール元首相リー・クアンユーと 彼を見事に真似た中国政府が 合理的な疑いの余地なく 証明してみせたように 資本主義を繁栄させ 目覚ましい経済発展を遂げるのは 民主性ゼロの政治でも 完全に可能なのです 実際 我らが住処であるヨーロッパは 民主主義から 遠ざかりつつあります
今年2015年の初め 新しく誕生したギリシャ政府の 財務大臣として ユーロ圏の財務相が集まる— ユーログループに出席した際 我が国の民主的プロセス つまり選挙によって ギリシャで実施中の経済政策を 妨げることは許されないのだと はっきり告げられました リー・クアンユーや中国共産党のやり方を これほど正当化した話は他にない その時 そう感じました 実際 何か少しでも 変化を起こす恐れがあれば 民主制自体禁止されかねないと 反体制的な友人たちがいつも言っていました
無駄といえば ひとつ 面白いパラドックスを 紹介させていただきましょう 今まさに 我々の経済を 脅かしている現象です 「ツインピークス・パラドックス」と呼びます 片方のピーク(山)は もう見てお分かりですね アメリカやヨーロッパ、そして全世界に 長く暗い影を落としている— 山積みの負債のことです 負債の山のことは誰でもわかります でも その双子の片割れが見えている人は 僅かでしょう 動かずに眠っている 莫大なお金の山です 金持ちや企業が溜めこみながら 投資に二の足を踏んでいる資金です 生産活動を通じて 収入を生み出し ひいては巨額の負債を 返済に充てるための投資や 例えば再生可能エネルギーのように 人類が切に必要としているものを 生み出すための投資です
ここで2つの数字に 注目してください 過去3ヶ月に アメリカ、イギリス そしてユーロ圏にて 富を生み出す財への投資された額を すべて合わせると 3.4兆ドルにあたります 例えば 工場、機械 オフィスビル、学校 道路、鉄道、機械設備など まだまだあります 3.4兆ドルって 大金に聞こえますよね でも 今言った国々で 同時期に 5.1兆ドルが 金融機関の中で 遊んでいるだけだとしたら そうも思えなくなります 5.1兆ドルが まったく何もせず むしろ 株価と不動産価格の高騰を 招いたのみなのですからね
まり 山積みの負債と 眠れる資産の山 この2つの山が 経済市場の通常の活動の中では 相殺できていないのです
これが賃金の停滞につながり アメリカ、日本、ヨーロッパにおける 25歳から54歳までの4人に1人は 失業者です 結果 総需要も上がらないという 悪循環は止まらず 投資する側は悲観的になります 需要不足を恐れて控えた投資が みずから需要を減らしているのです オイディプスの父親と全く同じ状況です 実の息子に殺されるであろうという 神託を恐れるあまりに 図らずして 息子のオイディプスに 本当に殺されるための お膳立てをしてしまう話です
資本主義がおかしいと思うのはここです 全体的な無駄や この眠れる大金こそ 人々の生活の質を向上するため 人材を開発するため そして何より 様々な技術を開発するため— 特に 地球を守るために必要不可欠な 環境に優しい技術開発に 投資するべきです
さて 現代の民主主義においては 経済と政治の領分の分離 これが始まった途端に 双方の間に 手のつけられない 壮大な争いが勃発しました 経済界が 政界に侵食し 政治を乗っ取り始めたのです
ある意味— 挑発的な発言をお許し頂ければ— 今日の中国は 19世紀のイギリスに より近いのです 理由は 前述のとおり 自由主義を民主主義と 関連して考えるのは 歴史的には間違いだからです 自由主義は 民主的プロセスに特に懐疑的だった― ジョン・スチュアート・ミルに 似たスタンスです 今 中国で起きていることは 産業革命の時期 特に第一次から 第二次産業革命への移行期に イギリスで起こったことと よく似ています だから 19世紀の西洋がしていたことと 同じことをしているからと 中国を酷評する人々には 偽善の匂いがするわけです
(引用終わり)
経済界が政治を浸食していると言う話は了解するが、余剰資本の活用によって矛盾が解決するなどは、資本主義の根本原則を容認する発想であり、経済の理論に翻弄されている一人の政治屋以外の何者でもない。
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Re: 資本主義・民主主義の問題点<現代社会の矛盾 ( No.2 ) |
- 日時: 2018/11/24 20:13
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:U9q0gAXQ
- ユーロ圏の問題、TPPの問題など経済界が望む方向で政治が動いているが、経済をグローバル化して、それで末端の国民生活が安定できるかと言えば、それは甚だ問題である。
このスレッドで書いてきた様に経済のグローバル化は、一方で安価な商品を流通させ、それを求める人々の意(個人の自由・権利)に沿ったものではある。
経済資本は、その人々の望みをかなえるという側面でグローバル化を推し進める。 しかしながら、同時に経済のグローバル化で弾き出され、生活の手段さえ(雇用)奪われ、困窮する多くの人々の存在は無視して進む。
翻って、政治とは何であろう。 その国の国民の安寧の為に存在しているのではないか。
その政治が、経済の言うなりでは社会の2極化を容認している事になる。 政治は、その使命を忘れて経済にひれ伏しているのである。
グローバル化した経済と言うのは、生産、流通において独占が進むと言う事であり、かぎられた企業より経済活動が出来ないと言う事。 経済活動と言うのは、需用と供給、つまり消費と生産がバランスをとっている状況を言う。
生産に携わることなく消費だけを求められている国民にとって、その生活基盤(経済)は奪われているのである。 これに対してアメリカのトランプも国内の雇用を守る為にTPP参加を断った。 イギリスのユーロ脱退も、国内産業の保護の為。
であるが、安価な商品を求める人々、流通の利便性を求める人々は必ずしも、これに同意しない。 資本主義と言うものは、人々の欲望を人質に展開しているのである。
グローバル化した産業構造のもと、多くの人々は行き場を失い困窮する事は確かであり、このままでは、それを抜け出す事は出来ない。 せめて、これ以上のグローバル化を防ぐ政治に転換すべきである。
政治を経済支配から取戻し我々の本当の味方にすべきなのである。
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Re: 資本主義・民主主義の問題点<現代社会の矛盾 ( No.3 ) |
- 日時: 2018/11/24 20:39
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:U9q0gAXQ
- NO1でヤニス・ バルファキス氏の次の言葉を紹介しました。
>ある意味— 挑発的な発言をお許し頂ければ— 今日の中国は 19世紀のイギリスに より近いのです 理由は 前述のとおり 自由主義を民主主義と 関連して考えるのは 歴史的には間違いだからです 自由主義は 民主的プロセスに特に懐疑的だった― ジョン・スチュアート・ミルに 似たスタンスです 今 中国で起きていることは 産業革命の時期 特に第一次から 第二次産業革命への移行期に イギリスで起こったことと よく似ています だから 19世紀の西洋がしていたことと 同じことをしているからと 中国を酷評する人々には 偽善の匂いがするわけです
中国経済についてはいずれバブルの崩壊を招き破綻すると言う経済の専門家が多くいます。 しかしヤニス氏が指摘するように、それは既成の経済屋の勝手な言い分にすぎません。
中国経済は莫大な公共投資の下に発展を続けています。 そのために中国が抱える公的債務は4000兆円を超えるとも言われています。
その様子を見て、日本と同じ様にバブルが崩壊、経済が破綻すると決めつけていますが、中国経済は、おそらく今後20〜30年は発達を続けるでしょう。
何となれば、中国は発展したと言っても、その一部であり人口で言えば、まだ10億人が貧しい生活を送っています。 これらの人が道足りるまでは中国の経済は発達し続けるでしょう。 日本のバブルと同じように考えるのは間違っています。
翻って、我が国では、まともな雇用を失った多くの国民の為に、国策として雇用を確保する政策が何故出来ないのか。 公共事業を増やせば雇用は生じる。 食料の輸入を制限すれば、農業、漁業が繁栄する。
輸出においても、何も価格競争だけをすべきではない。 優れた商品を開発すれば、おのずと輸出はできる。
国家の経営の仕方で社会は変えられる。 それが政治ではないか。
企業間の競争は企業に任せて、国家としては国民の生活基盤を守る事が政治ではないか。
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Re: 資本主義・民主主義の問題点<現代社会の矛盾 ( No.4 ) |
- 日時: 2019/05/05 04:36
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:RomMpC32
- 民主主義とは、国家など集団の支配者が、その構成員(人民、民衆、国民など)である政体、制度、または思想のことを言う。
この様な概念が使われ始めたのは、フランス革命からである。
当時(18世紀後半)、イギリスでは産業革命も起きていた時代であり、社会(ヨーロッパ)は急速に近代化をしていた。 そのころフランスでは 国民は、第一身分の聖職者、第二身分の貴族、第三身分の平民、といった具合で区別されていた。第一・第二の身分は免税や大土地所有権、加えてすべての要職を掌握し、年金まで支給された。これらだけでも酷い話だが、真に驚くべきは、人口における平民の割合は90%に達していた、という点。これが世にいう「アンシャン・レジーム(旧制度)」である。
この様な状況下で起きたのがフランス革命であり、武力を持って王制を倒し前近代的な社会体制を変革して近代ブルジョア社会を樹立した革命。
ある意味でブルジョア革命とも資本主義革命とも言えるか、これによって変わったのは、法の下の平等・経済的自由・自由な私的所有等がある。 これによって具体的には、資本主義憲法の確立し、人民主権・権力分立・自由権(経済的自由権)等の人権保障を中心とする原理が謳われた。
国家の主権が王朝、一部のブルジョア貴族から国民へ移ったことが最大の変革であり、それに従い個人の権利、自由が保障されるようになった。
前述のように、当時のフランスでは 第一身分 聖職者 第二身分 貴族 第三身分 平民 という身分制度にしばられていた。
現代社会と似通ったことがないのであろうか。
第一身分 公務員 3% 第二身分 ブルジョア 30% 第三身分 平民(ワーキングプアを含む) 67%
という数値はほぼ、当てはまっているであろう。 そうして、実際の政治、権力は第一身分、第二身分者に占有され、多くの平民は彼等にもてあそばれているだけ。
要するに、形は違えどフランス革命勃発の時代と社会の構成は似ているのである。 現代社会で民主主義を言うならば、もう一度市民革命(第二の市民革命)がなければ民主主義とは言えないのである。
民主主義の名の下に、個人の自由、権利ばかり気にしていると、大きな社会構造は見えなくなってくる。 この様な意味で、現代社会は民主主義の理念から逸脱しているのに、民主主義の果実、個人の権利、自由のみを民主主義と思い込み、盲目的に追い求める民主主義は民主主義でもなく、この様な民主主義はいずれ朽ち果て、個人の権利、自由も得られなくなる。
民主主義という言葉は、水戸黄門の印籠の様にはいかないのである。
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自己責任=個人の権利、自由の世界 ( No.5 ) |
- 日時: 2020/07/24 18:11
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:nMbh/ObM
- 民主主義とは、国家など集団の支配者が、その構成員(人民、民衆、国民など)である政体、制度、または思想のことを言う。
この様な概念が使われ始めたのは、フランス革命からである。
要するに民主主義の第一義は主権在民のことであるが、それが当たり前となった現在、
民主主義は個人の権利、自由を代表する概念となった。
個人の権利、自由を突き詰めれば、100億人民には100億の社会を認めようと言う事になる。
別の観点から見ると、100億の人生観があると言うこと。
裏返せば、100億の人間が自己に内籠り、死生観を見つめると言うこと。
元来、人間は、それに堪らず宗教などに走ることになる。
また共生意識で己の孤独を紛らわせてきた。
現代民主主義の方向性は、それとは(歴史とは)真逆の方向へ向かっている。
もちろん、民主主義の思想は人類がようやく手にしたものであり、尊重はするが、
際限のない民主主義志向は人類を不幸にすることも忘れてはならない。
このような事(経験)は、皆さんの身の回りの小さな出来事でも感じられることがあるでしょう。
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