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[814] 大和魂(日本の心のルーツを探る)
日時: 2018/05/23 11:57
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:XPKXw99A

「大和魂」と言う言葉を使うと嫌悪感に満ちてこれを否定する人たちが多い。
まるで街宣右翼と同類に扱われる。

しかしながら先の大戦において、国を守る為に散って行った200万近い兵士の事は、どのように思われるのか。

全てが全てでないとしても「大和魂」を信じて突進し倒れた兵士の事は考えられないのか。
その「大和魂」が軍部によって利用されていたとしても当事者の兵士の責任ではない。

ここで「大和魂」をミソクソに言う事は彼らの死を馬鹿にする事になる。
調子者が騙されて死んだと言えますか。

彼等の為にも「大和魂」は正当に評価することが大事と思います。
彼等は、まさしく彼等なりの「大和魂」を持って、国を守る為に死んで行ったのです。


(プロローグ)

人類が霊長類と分類されて他の動物よりも繁栄してきたのは、その頭脳的能力が発達、進化してきたからであります。
始原における人類は、その頭脳的能力で道具を使うことを覚え、そのうちに火を自在に使えるようになりました。

これは生きる(食べる)事において画期的な進化でありました。
一方で人々は集団で生活して行くことの重要性に目覚め次第に大きな集落を形成し分業をするようになってきた。
集団で生活し始めると、自分達の生活を脅かす自然の力に対する畏怖の心も結集することになり自然崇拝、呪術などが起きることになりました。
このころになると、集団には統治の機能が求められ次第に原始国家に近い概念が生まれてきました。

人間の頭脳的能力が生きるための対自然から、統治という人間自身の問題まで対象にし始めたと言うことです。
集団の英知(頭脳的能力の総体)を集めることに成功した人類は、農業、漁業、工業の分野を確立し安定した社会を構成することが出来ました。
このころになると、宗教と言うものが次第に鮮明な形を帯びてきて、人々の精神的ケアをするとともに、宗教を通じて集団の結束を図るようになってきました。
同時に統治者は独裁の傾向が強くなり王国を形成するようになります。
自然を相手に生産活動に殉じてきた人間でしたが、集団の力が強化されるとともに、他の集団を略奪することにより、成果がもたらされることに気がつき以来、血で血を洗う抗争が続いてきました。

さて、3000年も4000年も遡りますが、一応は自然を相手の格闘に一段落した人間は、その精神的な余裕の分だけ、その頭脳的能力を内面に向けるようになりました。
それが宗教であり、哲学の世界です。

文字として残る最古の哲学は、2000年くらい前のギリシャ哲学でありますが、その内容は主に統治の問題に絡んで話されています。
最初の哲学が、ようやく手に入れた人間社会の安定のために、人間は如何にあるべきかが最大テーマであったという事でしょう。
中国における儒教というものもこの範疇に入ると思います。

時を同じくして、キリスト教、イスラム教、仏教が興っています。現在まで続いているこれの宗教は、哲学とは別の方向から人間の内面性を説こうとしたものであり、それまでの宗教が民族単位に近かったものから人類共通の普遍性を主張しているのが特徴です。
西欧の歴史は、一時、キリスト教の精神で色濃く塗られていましたが、キリスト教的教義への反動として、500年くらい前にルネッサンス(文芸復興)と言う考え方が広まりました。
直接はキリスト教支配の前の人間精神への回帰ですが、実際は新たな人間性の認識へ移りました。
其処では、人間自身を自然とも切り離し、神とも切り離して如何に生きられるかについての思索がなされました。

それは300年後に資本主義、民主主義という鮮明な形で認識されるに至っています。
その途中、西欧哲学はスピノザに始まりホッブス、デカルト、カントへ至る人間自身の認識論(観念論)からヘーゲルの純粋論理的認識論(弁証法)へ進むなど、自然の理を超越しようとした試みが中心でありました。
それを人類の進化、発展と見れば、そのまま肯定もできるでしょう。
確かに、論理的に西欧哲学的思考で割り切ることにより、現代社会の繁栄があるのです。
さて、現代社会において我々が直面している困難は、深いところで人間性の問題につながっています。

資本主義、民主主義のシステムは、物資と情報、享楽と言う意味で人類に飛躍的な果実をもたらしました。
自然とともに生きなければならないと言う束縛から人類を解放したと言えます。
そうして、現代社会が直面している困難と言うのは、その昔、人類が経験していた自然の恐怖とは質が異なる困難であります。
ここに現代の困難は文明史的な次元の課題であると思います。
ここ4000年の間に営まれてきた宗教、哲学の概念の延長上で、どのように捉えられるか、更なる進化と言う観点から捉えるのか、人間性というものを自然との関わりで見直すことが正解であるのかが問われています。
これに対して、直線的に斯くあるべしと言うよりも、この観点から日本の歴史を振り返ってみたいと思います。

具体的には、弟3期西欧文明(資本主義・民主主義)が今日ある状況以外に人類は選択の余地がなかったのか、その過程において切り捨ててしまったものの中に人類が必要としていたものはなかったのかについて検証することから始めようと思います。
タイトルの「大和魂」とは、西欧文明以前の日本の精神文化を総称したものであります。
途方もなく長ったらしい話になりますが、ボチボチと御付き合い願いますよう御願いします。
説明のために掲げています長文は適当に読み飛ばしていただければ幸甚に思います。


(追申です 2017年6月24日)

このスレッドも、旧掲示板で書き始めてから言いますと10年近くたっています。
「大和魂」という標題のため、読んでくださる方は、常に「大和魂」の概念を探ろうとされているようです。
しかしながら、このタイトルは、このスレッド全体を通して感受されるべきものとして書いていますので、「大和魂」とは何かという設問には答えが見いだせなく戸惑いながら、結局は何が言いたいのか解らずしまいの様でしょう。
タイトルのつけ方が適正ではなかったかもしれません。
そこで、この時点(No188のレス)で私自身、ようやくたどり着いた「大和魂」の概念について次の様に説明して置きたいと思います。

<大和魂とは>

西欧民主主義が入ってくる前
江戸時代の朱子学に毒されるまえ
特に武士道などは、もってのほか。

それを取ったとき、
日本人はどのような生き方をしていたか。
それを探りたいのであり、言葉では、簡単には現せなく体感してほしいと思っております。

また「魂」という言葉を使っていますのは、物事に挑戦する意欲を表現しています。
これも具体的には言えませんが、山田長政の話やら、あまり良いことはしてないようですが倭寇など海外へ積極的に進出する、その気概。
日本人にも、そんな積極性があったことを頼もしく感じています。
そして、それは日本独自の文化、芸術を生み育てる力にもなっています。

その様なものを一括して「大和魂」と言っています。
そうして、そういうものを、この文章から感じ取っていただけることが出来たら幸いと思って書いています。
ですが、将来の日本人に「大和魂」だけを押し付けるつもりで言っているのではありません。
日本人には「大和魂」があることを忘れず、社会を生きてほしいと願うのです。

※ 体感してほしいと言っていますように、この文章の各所に伝説、神話、他の国の事情などを説明している箇所が随分とあります。退屈かもしれませんが、それを読まれることによって、それが書かれた時代、場所の様子を感じ取っていただきたいのです。
特に前半の部分は、日本民族と他国の民族性の違いを感じ取るために、長ったらしく資料を集めました。

(目  次)
No 0      プロローグ・目次
(前 章)
NO 1〜7    「大和」とは
(民話・伝説)
No 8〜16    日本の神話・伝説
NO 17〜20  中国の神話・伝説
NO 21〜37    世界のドラゴン伝説
No 38〜42    中国の民話
NO 43〜47    世界の七夕伝説
NO 48〜50    中国の民話・伝説
NO 51〜67    インドの民話・伝説
No 67〜93    イスラムの民話・伝説
No 94〜124   アングロサクソンの民話・伝説
(日本の歴史検証)
No 125〜137   「和」の検証 
No 138〜151   神代の時代から古墳時代
N0        飛鳥・奈良時代(一時、サーバのトラブルがあり、この部分が消えています)
No        平安時代(一時、サーバのトラブルがあり、この部分が消えています)
※ 後日復旧する予定。
No 152〜169   鎌倉時代
NO 170〜     室町時代
NO        江戸時代(未稿)
No        明治時代(未稿)
No        現代(未稿)
NO        「大和魂」とは(未稿)
No        エピローグ(未稿)

※ 世界の民話・伝説に紙面を割いているのは、日本人と他民族の気質の違いを探るためです。
メンテ

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大和魂 68 ( No.70 )
日時: 2010/10/23 15:41
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

さてイスラムの社会です。
ここはメソポタミア文明発祥の地で、これまでの中国、インドに比べて入り乱れた民族間の抗争の地です。
何を持って古代イスラムとすればよいのでしょう。
とりあえずは、メソポタミア文明というものに近づいてみましょう。

http://www.geocities.jp/timeway/kougi-1.html
上記は金岡新氏が高校生の授業のために書かれた「世界史講義録」です、紹介する以外に実に広範な内容を書かれています。
しばらくは、この文章によって話を進めます。
最初に、論旨には直接関係はありませんが「人類の誕生」と言う内容について書かれていることを紹介します。
以前に「人間の歴史」(イリン著)と言う書物を読みました。其処では原始人たちが、火や道具を用いるようになったきっかけ等が書かれていました。
そういう時代から人間が社会を構成するようになるまでの経緯を述べたものです。
その要約とも言うべき氏の文章を紹介します。

「人類の誕生」

進化論
 歴史が始まるには、人類が誕生しなければなりません。どのように人類が誕生したか。今でこそ進化ということは常識になっているけれど、この考えが発表された当時は大きな抵抗がありました。
 進化論で有名な学者、知っていますか。そう、ダーウィンですね。イギリス海軍の測量船「ビーグル号」に博物学者として乗り込み、南半球の各地を調査した。各地の動植物を観察するなかで進化論を確立します。
有名なのがガラパゴス諸島。小さな島がたくさん集まっていて、ここにしかいないという動物がたくさんいるんですが、ダーウィンが観察してると、あることに気づく。ちょっと隣の島に行くと、同じ種類の鳥でもくちばしの形が少しづつ違う。ガラパゴスゾウガメというカメがいるのですが、これも隣の島に行くと甲羅の形が違っている。こういう体験と自然淘汰という考えを結びつけて、『種の起源』という本を出版したのが1859年でした。進化論をとなえたのはダーウィンがはじめてではないのですが、この本が一大センセーションを巻き起こしたんですね。

 何が問題だったかというと、ダーウィンはイギリス人ですね。イギリス人を含めてヨーロッパ人はみんなキリスト教を信じている。

続く
メンテ
大和魂 69 ( No.71 )
日時: 2010/10/23 15:42
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

聖書には神がアダムとイブをつくったと書いてあって、人類はみんなその子孫だと信じていたわけですよ。私みたいにあまり信心深くない者にはそういう気持ちはわからないですけどね。ダーウィン自身は『種の起源』では人類については直接書いていないのですが、進化論を人間にあてはまれば、ヒトの祖先はサルの仲間ということになり、聖書の記述を否定することになる。

 信仰と科学の対立、ということだね。ヒトは神がつくったんではなくて、サルから進化したという考えは、未だに論争になります。アメリカでは、公立学校で進化論を教えるのに反対する人がいて、進化論を教えるなら、同時に聖書の人類創造説も教えるべきだと裁判が起こされたりします。

続く

今から20年も前になりますが、高校生だった私はラジオの深夜放送を聞いていた。受験勉強しながらね。「ノックノック○○」という番組だった。ディスクジョッキーがアメリカのどこかの砂漠で奇妙な化石が発見されたと言ってたんです。
 その化石というのは恐竜の足跡の化石で、それだけならどうということはないんだが、その恐竜の足跡のすぐ横にヒトの足跡も残っていた、というんだね。それも現生人類の足と同じモノが。
 これ、本当だったらすごいです。今までの進化の定説が覆るからね。これは、ビッグニュースだと思って、私は翌日の新聞を隅から隅まで読んだけど、どこにもそんな記事がない。ちょっと前の発見かもしれないから、その後、いろいろ本など注意深く見ていたのですが、やっぱり無いわけ。

 ずっと、変だなと思いつづけて何年かして、ハッと思いあたった。
 その番組、キリスト教関係団体の提供だったのね。「ノックノック〜」という番組名も「たたけよ、さらば開かれん」のことだったと思うよ。DJも、時々聖書の話なんかしてた。その化石のニュースはいわゆるガセネタだったんだね。
 DJが意識して嘘をついたとは思わないけど、恐竜とヒトが同時代に存在していれば、少なくともヒトに関しての進化論、人類学の現在の学説は否定できるからね。
 テレビやラジオで言っていたからといって、簡単に信じてはいけませんね。

 今でもそんなことがあるくらいだから、100年以上昔のダーウィンがキリスト教の本場で、どれくらい強い非難をうけたかは想像できるでしょう。

 さて、進化論を証明するには、証拠が見つかればよい。化石です。サルとヒトのあいだをつなぐ生物の化石が見つかれば。

続く
メンテ
大和魂 70 ( No.72 )
日時: 2010/10/23 15:44
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

ヒトとは
 ダーウィンの時代から現在まで、多くの人類学者が化石人類の発掘をしています。ところで、発掘して出てきた骨が、ヒトなのか、サルなのか、どうやって見分けるんでしょうね。要するに、人間とは何か、がわかっていなければいくら化石を掘り出しても、いつ頃人類が地球上に登場したかは決められないです。

 ヒトと他の動物を分ける決定的なポイントは何だと思いますか。
 はい、道具を使う、そうね。他には、…言葉、立つ、うん。
道具を使うのはヒトだけでは無い。かつては道具を「つくる」のがヒトだとも言われていましたが、チンパンジーも道具をつくる。
 サル学というのがあって、日本ではサルの研究が世界的にみても進んでいます。たくさんの本がでていますから、興味があったら読んでみてください。これが非常に面白い。

 ある日本の研究者がアフリカでチンパンジーの群をずっと観察していて、面白い行動を発見した。
 ある一頭のチンパンジー、ある朝目覚めると、木の枝を拾いはじめたんだ。拾ってはいじくりまわして、どうも枝を選んでいるようなんだね。何をしているのか、観察を続けていると、一本選んでその葉をちぎり取って、ちょうど釣り竿みたいな形にした。そして、それをひょいと肩に担いでトコトコと歩き出した。

 その研究者は不思議におもってつけていった。数キロ歩いたチンパンジー、蟻塚に到着した。蟻塚というのは蟻の巣で、日本みたいに地下に穴を掘った巣ではなく、1メートルくらいの高さに山みたいに土を盛り上げて、カチンカチンに固めてその中が巣になっているんです。出入り口は、小さいな穴になっている。
 で、チンパンジー君は、担いで持ってきた枝を蟻塚の巣穴に突っ込んだ。そして、それを引っぱり出すと、枝に蟻がたくさんくっついてくる。その蟻をぺろぺろ食べ出したんだね。何回もその動作を繰り返した。やがて蟻喰いに飽きてようやくその枝をほっぽらかして、別の行動に移った。

 これが、のちに非常に有名になる「蟻釣り」という行動です。
 これは、二つの意味ですごいことだ。
 ひとつは、明らかに、このチンパンジーは道具をつくっている。枝を選んでいるように見えたのは、蟻釣りにちょうど良い長さと太さ、そして、しなり具合の良い枝を探していたんだ。
 二つ目にすごいのは、蟻塚を見つけてから、釣り竿を作りはじめたのではないことです。かれは、始めからそこに蟻塚があることは知っていた。朝、目覚めて、かれは「今日は何しようかなあ」と考えた。「天気はいいし、木の実は食い飽きた。久しぶりに、あそこの蟻塚で蟻喰おうか」
 そう考えて、釣り竿を準備して出かけているということです。計画を立てていることは確実です。
 人間との差はほんのわずかです。実際ヒトとチンパンジーの赤ちゃんを一緒に育てると3歳くらいまでは、全く同じように成長するそうです。精神的にもね。サルの仲間でも、チンパンジー、ゴリラ、オラウータンの3種類は類人猿と呼ばれていて、非常にヒトに近い。DNAの98%はヒトと同じだそうです。

 どのくらいの知能をチンパンジーは持っているのか。アメリカでは、手話を覚えたチンパンジーがいる。数百の言葉を覚えた。このチンパンジーに別のサルを見せたら、「オマエ、キタナイ、サル」と言ったそうな。

 夕日を見つめるサルというのもある。これも、日本の研究者の観察ですけれど、あるチンパンジーの群のなかに、決まって夕暮れ時になると群から姿を消す個体がいた。
どこで、何をしているのか。研究者がつけていくと、そのチンパンジーは崖の端まで出かけていって、そこからサバンナの地平線に沈んでゆく太陽をじっと見つめているんだって。
 ぐーっと沈んでいくでっかい太陽を、身じろぎもせず…何を想っているのだろう。感動しませんか。
 夕日を見つめるチンパンジー…。

 野生動物というのは、決して意味のない行動、無駄な行動はしないものらしい。肉食獣もいるわけで、無意味な行動は生命の危険に直結する。群から離れて一匹で崖っぷちまで行く、非常に危険です。しかも、崖っぷちで夕日、これは無意味な行動で、本来ありえない。

 サルの話を続けているとキリがないのでこの辺でやめておきますが、言葉をしゃべるというのも、ヒトだけとは限らない。イルカや鯨の言葉を研究している人いるでしょ。ホントに言葉といえるモノがあるかはわかりませんが、今の段階でヒトだけが言葉を持つとはいいにくい。

続く
メンテ
大和魂 71 ( No.73 )
日時: 2010/10/23 15:45
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

結局、ヒトと他の動物を分けるポイントはこれ。漢字6文字。直立二足歩行。
 これはヒトだけです。チンパンジーもゴリラも歩くときは、普通は手をつきます。
 直立二足歩行は、二つの結果をヒトにもたらしました。ひとつは、手が自由になったこと。二つは、脳が発達できたこと。ヒトは他の動物と比較して体重に対する脳の比率がとりわけ大きい。
 その大きな脳を、直立することによって支えることができるようになります。たとえば、このボールペンが背骨として(水平に持つ)、この先端にこの黒板消しをくっつけようとしても、まあ、ボンドを使ってもすぐ落ちてしまうでしょう。でもこうして(ボールペンを垂直に持つ)立てれば、ほら、何も使わなくてもこの黒板消しが乗りますね(そっと乗せてみる)。ね。同じ理屈です。脳が大きくなれるのです。

 ただ、直立二足歩行というのは、かなり無理がある姿勢みたいで、ヒト独特の苦労も生みました。
 たとえば、出産の時にヒトほど苦痛をともなう動物はいないそうです。直立しているから妊婦さんのお腹から赤ちゃんが落ちないように、子宮の出口がものすごく固く閉まっているわけ。そこを、無理矢理こじ開けて子どもを生まなければならない。これが出産時の痛みの原因です。
 あと、腰痛もヒトだけの病気らしいです。

 脳が大きくなるには、手が自由になることが影響したようです。手で、何か作業しますね、これが脳を刺激する、するともっと複雑な作業もできるようになる、で、脳がもっと刺激される。こんなふうに相互作用が手と脳のあいだに生まれました。すべてのもとは、直立二足歩行。

 どんな化石が見つかればヒトか、ということでしたが、直立二足歩行の化石だったらヒトなのです。頭蓋骨、大腿骨、骨盤、こんな部分が見つかれば解るようです。

 ところで、カンガルー、あれは直立二足歩行ですか。そしたらヒトですか。じゃあペンギンは?答えは言いませんから、みなさん自分で考えてごらん。

続く
メンテ
大和魂 72 ( No.74 )
日時: 2010/10/23 15:46
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

化石人類の発見
--------------
 さて、ダーウィンの時代以後、ヒトの祖先の化石はいろいろ発見されました。整理しておきましょう。

 ヒトがはじめて地上に登場したのが、いまから400万年前。もっとも原始的なこの段階のヒトを、「猿人」と呼びます。猿人にはいろいろ種類があって「アウストラロピテクス」と呼ばれるものがもっとも有名です。これ以外にも別の名前を与えられている猿人もいます。別種がいて、同時に何種類か存在した時期があったようです。どれがわれわれの直接の祖先かは、定説はありません。

 「アウストラロピテクス」類が、たくさん発掘されて有名な場所が、タンザニアの「オルドヴァイ峡谷」です。東アフリカのモザンビークからエチオピアにかけて、東アフリカ大地溝帯と呼ばれる地球の割れ目があります。オルドヴァイ峡谷もここにあって何百万年も前の地層が露出していて化石発掘には絶好です。
 最初にここに目を付けて、猿人を発掘した人がルイス・リーキー。1959年のことです。その後、この峡谷で画期的な発見が相次ぎます。こんなふうに言うと、いとも簡単に発掘できたみたいですが、リーキーは最初の発見まで、実に28年間ここで調査を続けていたんですよ。先駆者というのはすごいね。
 ルイス・リーキーは1972年に亡くなっていますが、息子のリチャード・リーキーという人が、現在も発掘を続けて成果をあげています。どう、みなさんもアフリカへ行って30年くらい我慢して穴を掘り続けたら、ひょっとして画期的な発見で教科書に載るかもしれないよ。

 猿人が発掘されるのはアフリカだけなので、人類の故郷はアフリカといわれます。猿人の時代が200万年前まで続き、その後登場するのが「原人」です。40万年くらい前までが原人の時代です。

 原人は二つ覚えてください。「ジャワ原人」と「北京原人」です。

 ジャワ原人の発見者は、デュボアというオランダ人です。1891年のことです。かれはもっとも早い時期に化石人類を発見した人で、先駆者の悲哀を味わいます。
 デュボアは、ダーウィンの本に刺激され、ヒトとサルを結ぶ化石の発見を志します。医者として将来は大学教授の地位も約束されていたんですが、その地位をなげうって、オランダ軍の軍医に志願します。23歳の時でした。
 軍医になったのはインドネシアで化石を発掘するためでした。インドネシアは当時オランダの植民地で、軍人になればインドネシアに行けたんだね。ただ、インドネシアに化石があるなんて保証は何もない。ただ、ヒトの祖先は熱い地域に住んでいたに違いないと思っただけです。オランダ人が行ける熱い所がインドネシアだった、ただそれだけの理由です。
 実にいいかげんといえば、いいかげんだね。

続く
メンテ
大和魂 73 ( No.75 )
日時: 2010/10/23 15:47
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

 ところが、インドネシアに行って4年目、化石を発見してしまうのです。場所も覚えておこう。ジャワ島のトリニールという所です。ソロ川という川の土手で頭骨の一部と、大腿骨を見つけた。頭骨は丸みが少なく、類人猿に近いが、大腿骨は明らかに直立歩行していたモノだったんだ。
 先ほど話した猿人の化石が発掘される遙か以前のことで、かれの発見は、賛否両論を巻き起こします。

 実は、頭骨と大腿骨の発見された場所が同じではなく、15メートル離れていたの。だから、大腿骨はあとの時代のモノが紛れ込んだとか、いろいろ疑問がでて、結局かれの発見は受け入れられませんでした。
 デュボアは、完全に偏屈な人になってしまって、やがては自分の発見した化石を金庫に入れて、さらに自宅の床下にしまい込んで誰にも見せなくなってしまう。

 あとで北京原人が発見されて、それがジャワ原人とそっくりだったことから、かれの発見は認められるようになるのですが、そのころのデュボアはもう誰にも会わないような拗ねた性格になっていたそうです。

 北京原人は20世紀になって発見されます。北京近郊の周口店という場所です。
 洞窟跡からたくさんの動物の骨とともに見つかりました。骨に燃やした痕があったので、北京原人が火を使用したことがわかっています。
 それと、見つかった北京原人の化石の多くが割られていました。骨の髄を食べるためと思われます。つまり、食人の風習があって、仲間の肉を食べたらしい。これを否定する学者もいて、飢饉の時だけ食べたとか、呪術的な意味があるとか、いろいろな意見が出されていますが、どれも推測にすぎない。食人の風習を否定する研究者には、自分たちの祖先に汚名を着せたくないという身びいきな判断があるような気がします。

 ちなみに、完全な北京原人の頭蓋骨は第二次大戦時、日本軍が北京を占領した時のどさくさに紛失してしまいました。状況から見て、誰かが持ち出してどこかに隠しているんだと思う。見つかったら大スクープになりますよ。

 次にでてくるのが旧人。約20万年前です。ネアンデルタール人が有名。これはもう脳の大きさはわれわれよりも大きいほどです。この種類は旧大陸の至る所で発掘されます。かれらは、かなり高度な精神文化を持っていたらしい。たとえば、手足を折り畳んだ化石がたくさんでます。埋葬がおこなわれていた証拠です。

続く
メンテ
大和魂 74 ( No.76 )
日時: 2010/10/23 15:49
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

イラク北部で発見(ザクロス山中シャニダール洞穴)された男の化石などは、その上の土を取って顕微鏡で観察したら、ヒヤシンスやヤグルマギクの花粉が大量に発見された。

 かれが死んだときに、母親か恋人か友人かわからないけど、野花をいっぱい摘んできて、その亡骸にかぶせたんですよ。
 今でもそこには5月から6月にかけて、丘の上一面に野生のヒヤシンスが咲くそうです。ちょうどその季節にかれは死んだんだね。

 死後の世界に対する想いとか、花を見て美しいと思う、大げさにいったら芸術感覚があったということです。

 また、先天的に片手、片目のつぶれた40代男性の化石もありました。40歳といえば当時なら相当な年のはずです。障害を持ちながらも、仲間の助けを得ながら天寿を全うしたわけです。宗教的儀礼をおこなうとか、火の番とか、何かの役目を持っていたのでしょう。単純に障害者を切り捨てる社会ではなかったということがわかります。

 その後にでてくるのが、いよいよわれわれの直接の祖先です。新人といいます。その代表としてクロマニヨン人と、上洞人(じょうどうじん)を覚えておくこと。
 今から4万年くらい前に登場します。遺跡はたくさんあるけれど、かれらの残した洞穴壁画は覚えましょう。

 スペインのアルタミラ洞穴、フランスのラスコー洞穴の壁画は有名。1万5千年くらい前に描かれましたが、躍動感、色彩、どれをとってもすばらしい。
 馬や、牛の絵が多いでしょ。なぜこんなのを描いたのか実はよくわかっていない。猟でたくさん獲物が捕れるように願って描いたという説もあるが、当時の獲物はトナカイで、馬・牛ではなかったらしい。
 しかも、どこの壁画も洞穴のものすごく奥の方の、這っていかなければはいれないような所の天井とか、とにかく描きにくい所に描いている。何か宗教的なモノだともいわれますが、結局わかりません。
 志摩スペイン村パルケ・エスパーニャにはアルタミラ洞穴壁画と同じモノがつくられているそうです。一度見てみたいね。

 言い忘れていました。道具ですが、猿人の時代から石器がでます。打製石器です。新人の時代、1万5千年くらい前までは打製石器が続きます。ただ、原人、旧人、新人となるに従って精巧な石器になってきます。

 猿人、原人、旧人、新人と人類は進化しているんですが、一つだけ注意しておきたいのは、たとえばネアンデルタール人がクロマニヨン人に進化したかどうかは、不明です。
 同じ地層から旧人と新人が見つかる時期もあるんだね。
 同じように、猿人と旧人の関係、原人と旧人の関係もまだ、不明です。本によって書いてあることが違うのです。
 まだまだ、われわれの直接の祖先については研究途上です。

* 追記:2002年2月19日
細胞中のミトコンドリアのDNAを分析すると特定の人物の母系をさかのぼることができる。この方法によると、ネアンデルタール人はわれわれ現世人類の祖先ではないという。(「イヴの七人の娘たち」ブライアン・サイクス、ソニーマガジンズ、2001)


考古学的な、人類の誕生を終わり、次には文明の誕生へ向かいます。
メンテ
大和魂 75 ( No.77 )
日時: 2010/10/23 15:51
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

「文明誕生」

 さて、約1万年前、旧石器に代わって、新石器時代が始まります。磨いて加工した石器、磨製石器が登場します。こんなのですね。(石器の写真を見せる)

 打製石器に比べて持ちやすいのはわかるね。
 しかし、打製石器も馬鹿にならんよ。
 打製石器持ってきました。あ、これは○○先生がつくったの。奈良と大阪のあいだの二上山でサヌカイトという石器のいい材料がでるのですが、それを割ってつくった。ほら、こんなものでもよく切れるでしょ。(板の上で、新聞紙をシャキシャキと切り裂く)
次に農耕の起源です。メソポタミア地方で最初の農耕が始まったというのが従来の定説でしたが、最近いろいろな発掘調査で、中国の長江流域ではそれより遙か以前、1万3千年前くらいから稲作が始まっていたことがわかってきました。
 長江流域で定住生活が始まったのはさらにさかのぼって、1万6千年前といわれています。人は定住して土器を作成しはじめます。先日(4月17日)朝日新聞に載っていましたが、日本でも1万6000年前の土器が出土しています。
 これからも世界各地で、さらに古い遺跡が発見される可能性は充分あります。農耕の起源、発生地については、今のところ不明です。

 メソポタミア地方では、約7000年前には麦作と牧畜が始まります。イラクのジャルモ遺跡が有名です。

 農耕牧畜によって、食糧の収穫が予想できるようになる。うまくすれば、食べる以上に生産できる。その日その日を狩猟・採集で生活していたのに比べれば、どれだけ生活に余裕ができたことか。これを、食糧生産革命といっています。革命というのは、世の中がひっくり返るような変化に対する呼びかた、と考えておいてください。

 ここから、ちょっと難しい話です。
 さっき、食べる以上に生産できた、と言いました。これ、難しい言い方で余剰生産物という。農業技術も改良されていきますから、余剰生産物は増加します。この余剰生産物が文明を生んだとってよい。

 余分な食糧ができると、働かなくてもよい人々がでてきます。
 
 以前ならみんなが同じ仕事をしていたのに、違う役割で生きていく人たちが出現する。これを、階級の発生といいます。
 どんな人たちかというと、まずは神に仕えるような人たち、神官です。たぶん、農耕がうまくいくように天候を神に祈る人々が最初にでてきた農業をしない人たちだ。
 邪馬台国の卑弥呼も一種の神官です。彼女は、奥にこもってみんなには顔も見せずに神に祈っている。特殊な能力があると信じられていたんだろう。
 神官は、一般の人たちからその能力を恐れられるでしょう。そして、権力を持つようになるんだね。
 
 権力を持つ者は、必然的に自分が生きていくのに必要以上の土地や家畜を持つようにもなります。私有財産という。
 
 神官以外に、戦士も生まれてくる。他の集団から自分たちの集団を守るためにかれらも農耕を免除されて、特権階級になっていく。職人も、農業以外の仕事だけをする人々だ。

 マジカルな能力、人並みはずれた体力や体格、技能、あるいは人格的統率力、そういう力を持つ人々がリーダー層になる。階級分化です。
 やがて、指導者が支配者となって国家が生まれます。
 国家といっても、村がそのまま国になる、小さなものです。吉野ヶ里遺跡なんかは、そんなものの一つでしょう。
 この小さな国家を歴史学では、都市国家といいます。自分たちの集落を守るため集落の周りには城壁をめぐらせます。都市国家はみな、城壁を持っています。
 国家の支配者は租税を集める。誰からどれだけ税を徴収したか記録する必要がでてくる。文字はそのために発明されたともいわれます。

 階級、私有財産、都市国家、そして文明が生まれてきます。

続く
メンテ
大和魂 76 ( No.78 )
日時: 2010/10/23 15:52
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

「四大文明」

 農耕が世界各地で始まるのですが、その中で文明と
呼べるものを生み出した地域が四つあります。すべて、大河の流域に生まれました。
 メソポタミア文明---ティグリス・ユーフラテス河
 エジプト文明---ナイル川
 インダス文明---インダス川
 黄河文明--------黄河

 古い順に列べてあります。
 長江文明を言う人もいますが、まだ評価が定まっていませんから、ここでは覚えなくてもいいです。
 それぞれの話は次回以降にやります。
 今日はこの四大文明の共通点を確認して終わろう。

 写真を見てもらうとよく分かります。みんなよく似た風景でしょう。
 この四つの地域はすべて年間平均気温が20度前後、どちらかといえば雨が少なく乾燥地域です。しかし、水があれば農耕可能なんだ。そして、大河が流れている。水があるわけね。しかし、この大河の水をコントロールするには、多くの人が知恵と力を合わせる必要がありました。
 努力をすれば生きていける土地だったんだね。
 その、努力をするということが文明を生み出したんではないか、と私は思うのです。
 熱帯、亜熱帯の植生豊かな土地に生きている人々は、同じ農耕をするにも、ぼちぼちで生きていける。人々を組織して、自然に対して必死に取り組まなくてもやっていける。そういう土地では、文明は生まれなかったし、生まれる必要もなかったのでしょう。

 やがて、厳しい環境の中で生きていくために生まれた文明が、周りの地域に影響を与えはじめます。文明のあるところにはたくさんの食糧と高い技術があるわけだから、周りの民族はそれを欲しくなります。文明地域に武力で侵入する集団もある。徐々に技術が広がって文明化していく民族集団もあらわれる。いよいよ、歴史が動き始めます。

続く
メンテ
大和魂 77 ( No.79 )
日時: 2010/10/23 15:54
名前: 天橋立の愚痴人間 ID:YwJjsl9g

「メソポタミア文明」
シュメール人

 世界で最初に生まれた文明がメソポタミア文明です。
 紀元前3500年くらいには都市国家が成立して、文明といえるものになったといっていいでしょう。

 メソポタミアとは川のあいだという意味で、ティグリス、ユーフラテスの二つの川にはさまれた地方をさします。現在の国名でいうとイラクです。今はサダム・フセイン大統領で有名。昨年末(1998)にもアメリカとイギリスに空爆されて大きなニュースになりましたね。

 このメソポタミア地方の川下、河口付近にはじめての文明ができます。
 文明をつくりあげたのはシュメール人。民族系統不明です。残された彫刻などを見ると、目がくりくりと大きくて、波打つ立派な長いあごひげが特徴的ですね。

 今、この地域はイスラム教徒、アラブ人の世界ですが、男たちはみんなひげを蓄える風習がある。ひげがないと子どもかオカマだと思われるらしい。アラブ社会の民俗を研究している人の講演を聞いたことがありますが、その先生は帰国直後で、ヤギみたいなちょび髭を一所懸命のばしていました。「こんなヒゲでも、はやしていないと一人前として扱ってもらえないので」とぼやいてました。
 ひげ等のファッションは、時代、文化によって変化するものですが、ひょっとしたらこの地域ではシュメール人以来5000年間ずっとひげを伸ばしていたのかもしれないね。(注:シュメール人はひげを剃るのが一般的らしいが、使用していた資料集の写真にもとづいて、このような説明をしていました)

 メソポタミアに最初に文明が生まれたのは、農業生産性が非常に高かったかららしい。
 まず、麦と羊の原産地だった。そして、この麦の収穫量が非常に高かった。1粒の麦を播いて、20倍から80倍の収穫があったといわれています。
 これが、どのくらいすごいかというと、19世紀のヨーロッパで麦の収穫は播種量の5、6倍くらい、現代でもヨーロッパで15倍から16倍、アメリカで23倍という数字があります。
 だから、現代と同じかそれ以上の収穫があったというわけだ。たくさん穫れれば、余裕も生まれる。その余裕が、後世に残る文明を生み出したのでしょう。
 ちなみに、日本の米はどうかというと、江戸時代は30から40倍、今は110倍から144倍です。

 シュメール人はメソポタミア地方にたくさんの都市国家を築きました。ウル、ウルク、ラガシュなどという都市が有名です。しかし、都市国家どうしの抗争が激しく、統一国家ができることはありませんでした。政治は、神殿を中心に神権政治がおこなわれていたらしい。

続く
メンテ

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