[2018] 集団的自衛権を考える<憲法第9条を考える
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- 日時: 2014/06/20 11:16
- 名前: misuzunosato
ID:wjuO45H2
- 最近、安倍政権によって集団的自衛権の問題が取りざたされています。
この問題を巡る多くの言葉の概念が錯綜していますので、問題を正確に把握し煮詰めるために、ここで整理をしておきたいと思います。
まずは、中心にある、日本国憲法第9条です。
<第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】 >
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
※ この条文に対して自然権である自衛権(正当防衛)は、この限りではないと言う前提に立って話は進められています。 さらに、集団的と言う形容詞も判断の範疇となっている根拠として、憲法前文の事が良く言われています。
<憲法前文>
(一部略) 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
※ 「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」この文言を根拠に海外派兵を考えているのです。 次に、その国連の事についてみてみましょう。
<国連憲章第7条>
国際連合安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為の存在を決定し、勧告を行うとともに、非軍事的強制措置・軍事的強制措置をとるかを決定することができる(第39条)。また、措置を決定する前に、事態の悪化を防ぐため、暫定措置に従うよう関係当事者に要請することができる(第40条)。軍事的強制措置は、安全保障理事会と加盟国の間の特別協定に従って提供される兵力・援助・便益によって行われる(第43条)。国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、加盟国は個別的・集団的自衛権を行使できる。加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない(第51条)。
※ 続いて
<国連憲章第51条>
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。 ※ さらに、国連による集団安全保障行為が実際にはどのようになされて来たかと言うことを述べます。
(平和維持軍を指す。略称は、国連軍。)
国際連合憲章第7章においては、平和に対する脅威に際して、軍事的強制措置をとることができると定められている。憲章第42条で、安全保障理事会は国際の平和と安全を維持または回復するために必要な行動をとることができると規定されている。憲章第43条に従ってあらかじめ安全保障理事会と特別協定を結んでいる国際連合加盟国がその要請によって兵力を提供することになっており、安全保障理事会が当該兵力を指揮する。憲章第46条により安全保障理事会は軍事参謀委員会の援助により、兵力使用の計画を作成し、憲章第47条3項により軍事参謀委員会が兵力の指揮に関して助言する。これまで、この兵力提供協定を結んでいる国がないため、国際連合憲章第7章に基づく、安保理が指揮する国連軍が組織されたことはこれまで一度もない。
朝鮮戦争の事。
それでも1950年の朝鮮戦争では国連軍と言う名称のもとに多国籍軍が組織されました。 また最近ではイラクによるクエート進攻を防止するために多国籍軍を組織した湾岸戦争があります。 アフガン紛争は結局、国連ではなくNATOの集団安全保障の形で多国籍軍が形成されています。 また、別に国連の武力行使として平和維持活動における平和維持軍に大別することがあります。
<次に自衛権と集団的自衛権について考えてみましょう>
自衛権とは、
急迫不正の侵害を排除するために、武力をもって必要な行為を行う国際法上の権利であり、自己保存の本能を基礎に置く合理的な権利である。国内法上の正当防衛権に対比されることもあるが[3]、社会的条件の違いから国内法上の正当防衛権と自衛権が完全に対応しているわけでもない。 他国に対する侵害を排除するための行為を行う権利を集団的自衛権といい自国に対する侵害を排除するための行為を行う権利である個別的自衛権と区別する。
集団的自衛権とは、
他の国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利であると日本国内の一部の法学者や政治家らが主張している権利である。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある。なお、第三国が集団的自衛権を行使するには、宣戦布告を行い中立国の地位を捨てる必要があり、宣戦布告を行わないまま集団的自衛権を行使することは、戦時国際法上の中立義務違反となる。
集団的自衛権と似たような言葉に集団的安全保障と言うのがあります。
集団安全保障とは、潜在的な敵国も含めた国際的な集団を構築し、不当に平和を破壊した国に対しては、その他の国々が集団で制裁するという国際安全保障体制の一種である。
集団安全保障とは地域的または全世界的な国家集合を組織し、第一に紛争を平和的に解決すること、第二に武力行使した国に対して他の国家が集合的に強制措置を行うことによって、侵略を阻止し、国際的な安全を確保する国際安全保障体制をいう。これが現実的に実現するためには以下の条件が必要であると考えられている。
1. 集団安全保障機構が構成国よりも優れた軍事力を有すること。 2. 構成国、特に先進国が、自国の国益よりも国際社会の利益を重視して、機構の強制措置に協力すること。 3. 維持すべき現状(どのような平和を維持すべきか)について、また平和を破壊する行為をどのように認定するのかについて、構成国、特に先進国が共通認識を持つこと。
日本は、集団安全保障への参加について、武力の行使や武力による威嚇を伴う場合は、憲法9条が許容する「必要最小限度の範囲」を超えるため許されないとの解釈を取っている。一方、集団安全保障は「国連加盟国の義務」であり、憲法上は制約されないと総理大臣私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は主張している]。 集団的安全保障の概念は国連の出現によって出てきた概念である。
<ここで、そもそも軍隊とは何かと言う定義を見てみましょう。>
軍隊とは、兵器およびそれを扱う兵士からなる、戦闘力を備えた集団。広義には軍事組織であり、狭義には後述する戦時国際法で定められたそれである。警察と並ぶ国家の実力組織であり、主に外敵への対応を目的としているが、非常時の治安維持も期待されている。
軍隊と警察との違いを言いますと、
警察法では、第二条で個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持を責務とすると、あり一方自衛隊法は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする、となっています。 主に国内の公共の秩序の維持か、国防を主体として必要ならば公共の秩序の維持をするかの違いです。
<最後に従来の集団安全保障と言う観点から、軍事同盟について考えましょう。>
軍事同盟とは一般に安全保障のために二ヶ国以上の独立した国家が相互に軍事力の援助を行うことを定めた条約である。このような軍事同盟で想定される軍事的な支援は直接的な部隊の展開や連合作戦、軍事施設の共有だけでなく、兵器売買や経済的支援を通じた間接的な軍事援助を含んでいる。軍事同盟にはさまざまな形態があるが、同盟国が二ヶ国以上の国と戦争状態になった場合に参戦する義務が生じる防守同盟や同盟国が1国以上の国と戦争状態になった場合に参戦する義務が生じる攻守同盟などがあるが、ディングマンの研究では連合体、提携、協約、そして集団安全保障の四つに大別されている。
現在、世界には下記の様な軍事同盟があります。 • 日米安全保障条約(日米同盟) • 米韓相互防衛条約(米韓同盟) • 台湾関係法(条約ではなく、アメリカの国内法) • 北大西洋条約 • 米比相互防衛条約 • 太平洋安全保障条約 • 集団安全保障条約 • 共通外交・安全保障政策 • 五ヵ国防衛取極 • 米州共同防衛条約
上記に見られますように実際は同盟ではなく条約と言う言葉を使っています。以前には、日英同盟、日独伊三国軍事同盟などがありましたが。
同盟とは、
何らかの利害・目的・思想の一致により個人同士・勢力同士が協力を約束、或いは実際に協力している状態及びその組織
条約とは、
文書による国家間の合意である。国際法にもとづいて成立する国際的合意であり、国家および国際機構を拘束する国際的文書が条約であると狭く解す場合もある。現代では当事者能力をもつのは独立国家に加えて公的な国際機構があり、国際連合などの国際機関も締結主体となり得る。当事国は、原則として、当事国の憲法ないし基本法における手続・制約にもとづいて、国際法が禁止しないいっさいの内容を、交渉によって自由に作成することができる。合意した文書には、条約という名称以外に「協約」「協定」「規約」「憲章」「宣言」「交換公文」「議事録」「議定書」などの名称も使用されるが、名称が異なることによって効力の優劣があるわけではない。
次には日米安全保障条約全文を紹介します。

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